会長挨拶
第5回肝臓と糖尿病・代謝研究会会長 鳥取大学大学院医学系研究科 遺伝子医療学部門教授 汐田 剛史 |
第5回肝臓と糖尿病・代謝研究会を2018年7月21日(土)に、鳥取県米子市の米子コンベンションセンターにおいて、開催させていただきます。
今回のテーマは、「肝臓病と糖尿病:異病同態」としました。肝臓は複雑な代謝系を包含する臓器であるのみならず、全身の代謝に影響する種々の液性因子を分泌する内分泌臓器と言われています。糖尿病は糖代謝のみでなく、脂質代謝・蛋白質代謝の異常を含む広範な代謝系に異常をもたらします。肝臓病が原因で糖尿病が発症し、また糖尿病がベースとなり脂肪性肝疾患、肝硬変、肝細胞癌の発症に繫がることは周知の如くです。代謝をキーワードに両疾患は強い関連性を持っています。事実、糖尿病患者の死亡者数は悪性新生物による死亡が最多で、悪性新生物のうち肝細胞癌が第2位と報告されています。肝臓病と糖尿病の間に横たわる分子病態を解明し、適切な治療法を見出すことは本研究会の重要な使命と考えます。本研究会が、多数の方にご参加いただき、これらを共有する機会となれば、最大の喜びとするところです。
本研究会では、特別講演を岡上武先生(京都府立医大名誉教授、吹田医療福祉センター総長)にお願いしました。主題は、シンポジウム1を「NASH、糖尿病と腸内細菌」とし、肝臓病、糖尿病と腸内細菌の関連について最新の知見を発表していただきます。シンポジウム2は、「NASH及び肥満・糖尿病関連肝癌の基礎と臨床」で、実臨床において大きな問題となっているテーマを選びました。ワークショップ1は、Young Investigator Award (YIA)受賞者講演で、ワークショップ2は、「消化管及び肝臓による糖代謝調節機構」としました。これは既に糖尿病や脂肪性肝疾患の治療薬に応用されている重要な研究領域です。その他、一般演題、モーニングセミナー、ランチョンセミナーを予定しています。
日本肝臓学会、日本糖尿病学会の両学会会員の方はもちろんですが、多数の皆さまにご参加をいただき、発表や議論を楽しんでいただける研究会を目指しております。多数の方々のご参加を賜りますよう、よろしくお願い致します。